犬の歯並びが悪いと歯周病になりやすい?歯の基礎知識を徹底解説!
「犬にも歯並びの良し悪しはあるの?」
「愛犬の歯並び、これで正解?」
「歯並びが悪いとどうなる?」
犬の歯並びに対してこんな疑問はありませんか?
犬にも歯並びの良し悪しがあり、噛み合わせのズレがある状態は歯周病のリスクを高めます。
歯周病を早期発見するためにも、歯や歯並びの正常な状態を知っておくことが大切です。
この記事では、犬の歯や歯並び、噛み合わせの基礎的なことを徹底解説します。
愛犬にはおいしくごはんを食べ、ストレスなく元気に過ごしてほしいですよね。
正しい知識をつけて、愛犬の歯の健康を守りましょう。
犬の歯の基礎知識
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歯並びが悪い状態とは、歯の位置が正しくなかったり、本数に過不足があったりすることです。
愛犬の歯の異変にいち早く気付くためにも、まずは正常な状態を知りましょう。
ここでは、健康な犬の歯や口内環境について紹介します。
歯の種類
犬の歯は部位によって形が異なる「異形歯性」で、以下の4種類にわけられます。
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とくに後臼歯は食べカスが残って雑菌が繁殖しやすいため、歯周病のリスクが高いといわれています。
歯の本数
人間とおなじように、犬も乳歯と永久歯にわかれています。
それぞれの本数は以下のとおりです。
- 乳歯28本(上14本、下14本)
- 永久歯42本(上20本、下22本)
歯の本数が多かったり少なかったりする場合は、歯並びに影響します。
愛犬の歯が正しい本数であるか数えてみてくださいね。
ただし、あごが短い小型犬は歯の数が少ない場合もあります。
生え変わりの時期
生後2ヶ月ごろに乳歯が生えそろい、生後4ヶ月~8ヶ月で永久歯へと生え変わります。
生え変わる時期のことを歯牙脱換期(しがだっかんき)といいます。
個体差はあるものの、切歯→犬歯→臼歯の順で生え変わることがほとんどです。
生え変わりの時期は歯がむずがゆくなるため、おもちゃや人の手などを噛むことも。
また人間同様、永久歯が抜けてしまうと二度と生えてくることはありません。
口内環境
人間の口内は弱酸性であるのに対し、犬はアルカリ性です。
アルカリ性の環境下では、以下の特徴があります。
・虫歯になりにくい
→アルカリ性は虫歯菌の増殖をおさえるため
・歯周病になりやすい
→歯垢から歯石になるスピードが早いため
また、人間の歯のエナメル質は2〜3ミリですが、犬は0.2~0.5ミリです。
エナメル質は歯の表面を覆っている硬い層のことで、厚さが薄いほどもろいことを指します。
犬の歯はもろいため衝撃に弱く、歯周病になりやすい口内環境です。
歯並びが悪い状態は噛み合わせに影響する
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歯並びが悪い状態は、噛み合わせの異常につながります。
噛み合わせが悪い状態のことを不正咬合(ふせいこうごう)と呼びます。
正しい噛み合わせは、上下の歯が隙間にきっちりと入り込むはさみのような状態。
前歯である切歯は、上下がわずかに重なるかたちが理想です。
噛み合わせの種類
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噛み合わせが悪い不正咬合には、以下の4種類があります。
- オーバーショット
- アンダーショット
- クロスバイト
- レベルバイト
なかでも、オーバーショットは口の中を傷つけてしまう場合があります。
4種類の噛み合わせについて、それぞれ詳しく解説します。
オーバーショット
下あごよりも上あごの方が長く、上の切歯が前に出ている状態です。
人間でいう「出っ歯」のようなかたちです。
まれに、下の歯が上あごを傷つけてしまう場合があります。
愛犬が痛そうにしていたり、出血があったりした場合は病院を受診し、医師に相談しましょう。
アンダーショット
上あごよりも下あごの方が長く、下の切歯の方が前に出ている状態です。
人間でいう「受け口」のようなかたちです。
ただし、フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は、アンダーショットが正常とされています。
クロスバイト
上下とも骨の位置は正常であるものの、一部の歯並びが悪い状態です。
一部の歯が倒れたり、位置がズレたりすることで隙間ができ、舌が出てしまうこともあります。
レベルバイト
上下の切歯が水平に噛み合い、先端がぴったりとくっついている状態です。
水平咬合とも呼ばれ、治療の必要がないものがほとんどです。
犬の歯並びが悪くなる3つの原因
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歯並びの悪さは、おもに乳歯遺残や遺伝、外傷などが原因です。
歯並びに影響する3つの原因についてみていきましょう。
1)乳歯遺残
歯並びが悪くなる原因のひとつは「乳歯遺残」です。
乳歯遺残とは、乳歯が永久歯に生え変わらずにそのまま残ってしまうことです。
乳歯が残ったまま狭いスペースに永久歯が生えるため、歯の位置や向きが異常だったり、変形したりします。
二枚歯のように重なった状態になり、抜歯が必要なこともあります。
歯並びや噛み合わせが気になったときは、本数を数えて乳歯遺残がないか確認しましょう。
2)遺伝や犬種
あごの骨の長さや歯の大きさは子犬に遺伝することが多く、親子ともに歯並びが悪くなるケースもあります。
また、チワワやトイプードルなどの小型犬はあごが小さく歯が密集しやすく、歯列が乱れやすい犬種です。
遺伝や犬種による歯並びは不正咬合の予防ができません。
口を清潔に保ち、痛そうにしていないか、食べづらそうにしていないかよく観察しておきましょう。
3)外傷
乳歯のときにあごの骨が折れたり脱臼したりすると、関節がズレて正しい歯の発育や噛み合わせに影響を与えます。
また、犬の歯は乳歯と永久歯のどちらももろいため、衝撃が加わると変形したりかけたりしやすくなっています。
愛犬の口やあごに強い衝撃をあたえるケガをしないよう、しっかりと見守ってくださいね。
歯並びが悪いと歯周病になりやすい
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ガタガタとした歯並びは隙間に食べカスが残るため、歯周病を引き起こしやすくなります。
とくに、となりの歯と重なる部分が大きい場合、食べカスが隙間に入り込むとなかなか取れません。
歯周病は進行すると完治が困難になるだけでなく、強い痛みを引き起こし、大きなストレスを与えます。
愛犬の歯並びが気になっている方は、歯周病になっていないかよく観察しましょう。
歯周病の初期症状については、こちらの記事で詳しく解説しています。
愛犬の歯周病が心配…初期症状や予防法を知って口の健康をキープしよう
歯並びの悪さが気になるときは病院へ
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愛犬の歯並びが気になる場合は、一度病院を受診し、状態に合った指導を受けましょう。
歯並びの悪さが原因で口の中が傷つき、痛みをともなう場合は歯科矯正をすることもあります。
チェーンのような専用器具を歯に付けて、数ヶ月かけて正しい位置へと矯正する方法です。
とはいえ、痛みをともなうほどの歯並びでなければ、治療をしないことがほとんど。
歯周病予防のために歯みがきをして、口の中を清潔に保つことが大切です。
また、犬の歯科矯正は専門的な処置になるため、すべての病院で行なっているわけではありません。
まとめ
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犬の歯の基礎知識や、噛み合わせについて紹介しました。
歯並びが悪い場合、かならずしも治療が必要なわけではありません。
しかし、犬はもともと歯周病になりやすいうえに、歯並びが悪い状態はさらにリスクを高めます。
歯並びが気になっている場合は、歯周病にならないよう定期的に口の中をチェックし、念入りに歯磨きを行いましょう。
心配な場合は一度病院を受診して、獣医師に状態を診てもらってくださいね。